マンションと戸建て、浸水後の対応の違い|床下のつくり・罹災証明・保険
浸水後の片付けの情報は戸建て向けが多く、マンションにお住まいの方は自分に当てはまるか迷いがちです。床下のつくり、水の入り方、罹災証明の判定のしかた、保険の分かれ方の違いと、マンションで確かめること・知らせる先・頼める範囲を、国や自治体の資料をもとに整理します。
結論:床下のつくりが違うため、確かめる先と頼む先が変わります
- 戸建ての床下浸水では、基礎の換気口などから泥水が入り、床下に泥がたまります。泥を出して乾かすことが中心です。
- マンションでは、国の標準管理規約で、床スラブや電気室・ポンプ室・エレベーターなどの設備が共用部分とされています。部屋が浸からなくても設備が止まって暮らしに影響が出ることがあり、共用部分に関わる被害は管理会社・管理組合に知らせます。
- 罹災証明の判定のしかたや、保険の分かれ方も違います。判定は市区町村が行い、補償の条件は契約している保険会社・代理店に確かめます。
「マンションだから大丈夫」と思っていた方へ
大雨や台風で被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
浸水のあとの片付けを調べると、基礎や換気口、床下点検口など、戸建ての床下の話が多く出てきます。マンションにお住まいの方は、読みながら「自分の家に当てはまるのか」「どこまでが自分で、どこからが管理組合なのか」と迷われたかもしれません。
たとえば、こんな戸惑いがあります。
- 上の階なので関係ないと思っていたのに、エレベーターが止まり、水も出なくなった。
- 半地下の部屋で、トイレや浴室から水があふれてきた。
- 管理会社に何を伝えればよいのか、自分の保険で何を確かめればよいのか分からない。
※よくある状況を例として書いたもので、特定の方の声ではありません。
思ってもいなかった被害ほど、戸惑いは大きくなります。被災していない人には伝わりにくい不安もあります。戸建てを前提にした説明が多いなかで、迷われるのは自然なことです。
まず、ご自身とご家族の安全を優先してください。そのうえで、分かることから一つずつ確かめていきましょう。この記事では、戸建てとマンションで何が違うのかを整理し、マンションで確かめることを順番に並べます。
戸建てとマンションでは、何が違いますか
災害の統計で使う「床下浸水」は、床上浸水に至らない浸水のことで、消防庁の災害報告取扱要領にマンション向けの別の定義は置かれていません。言葉は同じでも、戸建てとマンションでは次の4つが違います。
床下のつくり
| 戸建て | 床が木造の場合、建築基準法施行令で、最下階の居室の床は直下の地面から45cm以上とし、外壁の床下部分に換気孔を設けることになっています(床下をコンクリートなどで覆う場合は除く)。床下点検口は、浸水後の復旧作業をしやすくする対策として、住宅生産団体連合会の手引きに挙げられています。 |
|---|---|
| マンション | 鉄筋コンクリートの共同住宅では、コンクリートの床(床スラブ)の上に、配管を通すための二重床を設けることがあります。1階の下に床下の空間があり、共用の排水管が横に通っている場合もあります(国土交通省の資料)。 |
マンションの床のつくりや点検口の有無は、建物ごとに違います。管理会社や、施工時の記録で確かめてください。
水の入り方と、暮らしへの影響
| 戸建て | 床下浸水では、基礎の換気口などから水と泥が入り、床下に汚泥がたまります(住宅生産団体連合会の手引き)。 |
|---|---|
| 半地下・地下の部屋 | 東京都下水道局は、豪雨のときに下水が逆流してトイレや風呂などから噴き出すおそれと、道路側から水が流れ込むおそれを挙げています。 |
| マンション全体 | 国土交通省の資料では、部屋が直接浸水しなくても、エレベーターの停止、地下駐車場の浸水、全戸の停電、ポンプの停止による断水などで、生活に影響が出るとされています。 |
罹災証明の判定のされ方
内閣府の「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」(令和8年6月)では、戸建てとマンションで判定の進め方が分かれています。
| 木造・プレハブの1〜2階建ての戸建て | 浸水の深さで判定する方法が使える場合があります。この方法では、床下浸水は「準半壊に至らない(一部損壊)」の区分です。印西市も、罹災証明書の案内で床下浸水をこの区分としています。 |
|---|---|
| マンションなど |
|
実際にどの区分になるかは、お住まいの市区町村の判定によります。ここに書いた区分から結果を決めつけて、申請をあきらめないでください。片付ける前の写真を残し、窓口に相談してください。
保険の分かれ方
マンションでは、保険も「自分の部屋」と「共用部分」に分かれます。日本損害保険協会は、マンションなどの区分所有建物の火災保険は、専有部分と共用部分で分けて契約するのが一般的だと説明しています。
| 自分の部屋と家財(専有部分) | ご自身で契約している火災保険の内容を確かめます。 |
|---|---|
| 共用部分 | 管理組合がまとめて保険を契約する方式があります。内容は管理会社・管理組合に確かめます。 |
| 水災の補償(戸建て・マンション共通) | 日本損害保険協会は、水災の補償は一般に、床上浸水の場合や、損害額が一定の割合以上になった場合に支払われると説明しています。火災保険でいう床上浸水は、居住部分の床(畳や板張りなど。土間・たたきは除く)を超える浸水です。具体的な条件は契約によって違います。水災を補償しない火災保険もあるため、保険証券で確かめてください。 |
| 上の階からの水濡れ | 上の階の給排水設備の事故による水濡れは、水災とは別の補償項目です。 |
| 階下に被害が出たとき | 個人賠償責任保険は、法律上の損害賠償責任を負った場合に支払われる保険です。日本損害保険協会は、マンションの風呂場からの水漏れで階下の家財を傷めた場合を例に挙げています。 |
どの補償が使えるか、支払いの条件に当てはまるかは、契約している保険会社・代理店に確認してください。
マンションにお住まいの方が、確かめることは何ですか
できるところから、順番に進めてください。部屋に入る前の安全確認は浸水した家に、そのまま入っていいですかにまとめています。
- 自分の部屋か、共用部分かを分ける国土交通省の「マンション標準管理規約」では、天井・床・壁は、躯体(建物の骨組み)を除いた部分が専有部分です。床スラブ、自家用の電気室、ポンプ室、エレベーター設備、電気・給水・排水の設備は共用部分とされています。給水管は本管から各住戸のメーターまで、排水管は継手と立て管が共用部分です。実際の範囲はマンションごとの管理規約で決まっているため、お住まいの管理規約で確かめます。
- 共用部分に関わる被害を、管理会社・管理組合に知らせる標準管理規約では、共用部分の管理は管理組合がその責任と負担で行うとされています(第21条)。床スラブや共用の排水管、電気室・ポンプなどの設備に関わる被害は、管理会社・管理組合に知らせてください。賃貸にお住まいの方は、貸主や管理会社にも状況を伝えてください。
- 階下へ水が回っていないかを確かめる階下への漏水の責任については、区分所有法第9条(建物の欠陥は共用部分にあるものと推定する規定)や、民法第717条(工作物の責任)があります。ただ、外から入った水が階下へ回った場合に誰が責任を負うかは、状況によって異なります。自分で決めつけず、管理会社と保険会社に相談してください。
- 片付ける前に写真を残す部屋ごとの様子、水の跡の高さ、ぬれた家財を撮ります。写真は、罹災証明書の申請や保険会社への相談で役立つことがあります。必要な撮り方は、市区町村と保険会社に確かめてください。危険な場所へ撮影のために入る必要はありません。
- 保険証券を確かめる水災の補償が付いているか、水濡れや個人賠償責任の補償があるかを確かめます。共用部分の保険は、管理組合の契約内容を管理会社に確かめます。
- 市区町村に罹災証明書を申請する判定は市区町村が行います。賃貸住宅について、成田市と印西市は所有者も申請できると案内しており、佐倉市はアパートやマンションの所有者向けの申請書を用意しています。申請の方法は、お住まいの市区町村の案内で確かめてください。
戸建てにお住まいの方は、どこを読めばよいですか
戸建ての床下浸水は、泥を出して、しっかり乾かすことが中心になります。水抜きの前に確かめること、排水・泥出し・乾燥の順番、自分で作業を止める目安は床下浸水の水抜き・泥出し・乾燥にまとめています。
床の上まで水が入った場合の片付け、捨てるか残すかの判断、濡れた写真の扱いは、床上浸水のあとの清掃と片付けの順番をご覧ください。
乾燥と清掃・消毒は、どう考えればよいですか
厚生労働省は、浸水した家屋の感染症対策として、清掃と乾燥が最も重要であり、「屋外(床下や庭)の消毒は原則不要です」と示しています。戸建てでもマンションでも、まず泥や汚れを取り除き、よく乾かすことが先です。
まず泥を出し、しっかり乾かすことがいちばん大切です。そのうえで、下水の逆流があった、泥が取り除きにくい場所がある、気持ちの面でも安心して暮らしたい、という場合には、Y&A商事としては乾燥後の消毒をおすすめしています。消毒をするかどうかの最終的なご判断は、お客様にお任せします。消毒の作業も、当社へご相談ください。
消毒を求める自治体の条件は、浸水後の消毒が気になる方へにまとめています。
床下の乾燥は、見た目だけで決めない
住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)が紹介している相談事例では、マンションの床下への漏水が1年以上続いたケースについて、専門家が、コンクリートの床はすぐには乾かず、下地の木材が腐るおそれもあると答えています。浸水ではなく漏水の事例ですが、床下の水はすぐには乾かないことがある、という参考になります。
二重床の床下の様子や点検口の有無は、建物ごとに違います。管理会社や施工時の記録で床のつくりを確かめ、内装を元に戻す前に、建築・復旧の専門業者に状態を見てもらってください。
戸建ての床下については、福井県の復旧案内が、点検口を開けたり床板をはがしたりして確認すること、乾燥に2〜3か月かける必要がある場合を示しています。必要な期間は、建物のつくりや浸水の状況で変わります。
Y&A商事に頼めること、頼めないこと
当社で承れること:泥出しのあとの床・壁・水回りの洗浄と拭き上げ/乾いたあとの消毒(下水の逆流があった場合などにおすすめしています。するかどうかの最終的なご判断はお客様にお任せします)/浴室・トイレ・キッチンなど水回り設備の清掃。
戸建てでもマンションでも、当社が承れるのは室内の清掃と、ご希望に応じた消毒のご相談です(共用部分・設備・配管・構造は対象外)。浸水した住まいの清掃は、通常のハウスクリーニングとは作業内容も装備も異なります。当社では災害特殊清掃として扱い、サイトに掲載している清掃の料金表とは別に、現地の状況を確認したうえでお見積りします。お見積りは無料です。
一方で、マンションの共用部分(床スラブ、共用の排水管、電気室・ポンプ・エレベーターなどの設備)の点検や修理、給排水の配管の修理、床下や壁の中の解体、建物の乾燥工事、構造への影響の判断は、管理組合や、建築・設備・復旧の専門業者の領域です。
お話や写真から、当社で対応できる室内の清掃と、先に管理会社・管理組合や専門業者に確かめた方がよいことを分けてお伝えします。清掃で対応できない状態だった場合も、その旨をはっきりお伝えします。
依頼先の分け方は浸水被害はどこに頼むか、見積りを比べるときの確認点は浸水清掃の見積りを比べる前にそろえたい作業範囲をご覧ください。
マンションと戸建ての浸水でよくある質問
マンションの上の階なら、浸水の影響はありませんか?
部屋が直接浸水しなくても、影響が出ることがあります。国土交通省の資料では、エレベーターの停止、全戸の停電、ポンプの停止による断水などが挙げられています。設備が使えるようになる見通しは、管理会社・管理組合に確かめてください。
マンションの床下が浸水したら、どこに知らせればよいですか?
国土交通省の「マンション標準管理規約」では、床スラブや共用の排水管、電気室・ポンプ室などは共用部分とされ、共用部分の管理は管理組合が行います。共用部分に関わる被害は、管理会社・管理組合に知らせてください。どこまでが共用部分かは、お住まいのマンションの管理規約で確かめます。賃貸にお住まいの方は、貸主や管理会社にも伝えてください。
マンションの罹災証明は、戸建てと判定のしかたが違いますか?
違います。内閣府の運用指針では、浸水の深さで判定する方法は木造・プレハブの1〜2階建ての戸建てが対象で、マンションなどは部位ごとの傷みの程度から判定します。集合住宅は原則として1棟全体で判定し、浸水した階の住戸のように被害が明らかに大きい住戸は、住戸ごとに判定することもあります。実際の判定は、お住まいの市区町村が行います。
賃貸のマンションやアパートでは、罹災証明書を誰が申請しますか?
成田市と印西市は、賃貸住宅の場合は所有者も申請できると案内しています。佐倉市は、アパートやマンションの所有者向けの申請書を用意しています。申請の方法は、お住まいの市区町村の案内で確かめてください。
マンションの保険は、どこを確かめればよいですか?
日本損害保険協会は、マンションなどの火災保険は専有部分と共用部分で分けて契約するのが一般的だと説明しています。自分の部屋と家財はご自身の契約を、共用部分は管理組合の契約を確かめます。水災の補償が付いているかや支払いの条件は契約によって違うため、保険証券を確認し、契約している保険会社・代理店に確認してください。
浸水のあと、床下の消毒は必要ですか?
厚生労働省は、感染症予防には清掃と乾燥が最も重要で、屋外(床下や庭)の消毒は原則不要としています。まず泥を取り除き、よく乾かすことが先です。下水の逆流があった場合などは、当社としては乾燥後の消毒をおすすめしています。消毒をするかどうかの最終的なご判断は、お客様にお任せします。
Y&A商事に、マンションの共用部分や配管の修理を頼めますか?
共用部分や設備、建物の構造、配管の修理は、管理組合や、建築・設備の専門業者の領域です。当社で承れるのは室内の清掃(泥出しのあとの洗浄と拭き上げ、乾いたあとの消毒、水回り設備の清掃)で、災害特殊清掃として、掲載している料金表とは別にお見積りします。お見積りは無料です。
泥出し後の床や水回りの洗浄・拭き上げが残っている方は、浸水後の「残った清掃」を相談する目安をご覧ください。共用部分や建物の修理の依頼先は、管理会社・管理組合や、対応する専門業者へ確認します。
参考にした一次情報
- 消防庁「災害報告取扱要領」(PDF)
- 建築基準法施行令 第22条(e-Gov法令検索)
- 住宅生産団体連合会「住宅における浸水対策の設計の手引き」(PDF)
- 国土交通省 長期優良住宅の認定基準の見直しに関する参考資料(PDF・2021年12月)
- 国土交通省 水管理・国土保全局「家庭での被災想定」(PDF)
- 東京都下水道局「地下室・半地下家屋の浸水対策のお願い」
- 内閣府「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」(令和8年6月):集合住宅の判定(PDF)/浸水の深さによる判定(PDF)
- 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月改正・PDF)
- 建物の区分所有等に関する法律 第9条(e-Gov法令検索)
- 民法 第717条(e-Gov法令検索)
- 日本損害保険協会 ニュースリリース(2025年12月18日・PDF)
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 問51 どの種類の火災保険でも、補償される範囲は同じですか。」
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 問53 マンションに住んでいる場合の火災保険の契約方法を教えてください。」
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 問80 個人賠償責任保険は、どのような保険ですか。」
- 厚生労働省「浸水した家屋の感染症対策」(PDF)
- 住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)「1年以上にわたるマンションの床下への漏水」
- 福井県「水害で浸水した住宅の復旧方法について」
- 佐倉市「罹災証明書・被災証明書(台風25号)の発行について」
- 成田市「罹災証明書・罹災届出証明書が必要な方へ(台風25号)」
- 印西市「り災証明書の交付について」
この記事は、公的機関の資料をもとにした一般的な整理です。管理規約の範囲、保険の補償、罹災証明の判定は、マンションや契約、市区町村によって異なります。被災時は、お住まいの市区町村、管理会社・管理組合、契約している保険会社の最新の案内を優先してください。


